ハッピーメールを使っていると、相手との会話の中で思いがけない言葉が出てくることがある。
以前、ある女性と話していたときのことだ。
その女性から、
キスこそエイズにもっともなるかもしれません
という趣旨のことを言われた。
そのときの私は、「キスが一番危険なの?」と少し引っかかった。
男女の出会いでは、性感染症を心配すること自体はおかしくない。むしろ、会ったばかりの相手なら慎重になるのは当然だと思う。
ただ、「HIV(エイズの原因となるウイルス)はキスで最も感染しやすい」という話になると、現在の医学的な説明とはかなり違う。
今回は、ハッピーメールで女性から言われたこの一言をきっかけに、出会いの場で性感染症の話が出たとき、どう受け止めればいいのかを記録しておきたい。
最初はかなり強い言葉に聞こえた
「キスこそエイズにもっともなるかもしれない」
こう言われると、キスそのものが非常に危険な行為のように聞こえる。
私もその言葉だけ聞けば、
「そうなのかな?」
と思ってしまう。
特にHIVやエイズという言葉には強い印象がある。
自分が詳しく知らない分野で相手が自信を持って話すと、つい「相手のほうが詳しいのかもしれない」と考えてしまうこともある。
しかし健康に関する話は、相手の言葉だけで判断しないほうがいい。
そこで改めて公的な情報を確認してみた。
HIVは普通のキスでは感染しない
ここはこの記事で一番重要なところなので、はっきり分けておきたい。
CDC(米国疾病予防管理センター)は、唾液だけではHIVは感染せず、口を閉じた通常のキスではHIV感染の可能性はないと説明している。
したがって、
「キスこそHIVに最も感染しやすい」
という理解は正しくない。
厚生労働省も、HIVの主な感染経路を性的接触、血液を介した感染、母子感染として説明しており、日常生活では感染しないとしている。
これは、出会い系サイトを利用する人にも知っておいて損のない知識だと思う。
ではディープキスならどうなのか
ここは少しだけ注意が必要になる。
CDCによると、深いキスについてもHIV感染は極めてまれだ。ただし、双方に口内の傷や出血する歯茎などがあり、HIVを含む血液が相手の体内に入るような特殊な状況では、非常にまれな感染例が報告されている。
つまり、
「唾液が交換されるから危険」
という話ではない。
ポイントになるのは血液だ。
CDCの2025年の曝露後予防ガイドラインでも、キスは通常、HIV感染について無視できるほど低いリスクとされ、目に見える血液が関係する例外的な状況を除いて、曝露後予防薬(nPEP)は通常推奨されていない。
だから必要以上にキスを怖がる必要はない。
ただし「キスなら何も感染しない」でもない
ここでもう一つ注意したい。
HIVの感染リスクが極めて低いことと、
「キスなら感染症について何も考えなくていい」
ということは別だ。
厚生労働省によれば、軽いキスで咽頭の淋菌やクラミジアが感染するリスクは低いと考えられている一方、口唇ヘルペスや梅毒で唇周辺に発疹がある場合には、キスによって感染する可能性がある。
感染症によって感染経路は違う。
だから、
「キス=危険」
でも、
「キス=完全に何でも安全」
でもない。
病気ごとに正しい情報を見る必要がある。
女性はなぜそんなことを言ったのか
では、なぜ彼女は「キスこそ」と言ったのだろう。
これは本人に確認しない限り分からない。
過去に誰かから聞いたのかもしれない。
昔読んだ情報を覚えていたのかもしれない。
性感染症全般とHIVを混同していた可能性もある。
あるいは、単純にキスをしたくなくて、その理由として感染症の話を出した可能性もゼロではない。
しかし、ここを勝手に決めつけるべきではないと思う。
大切なのは、相手の医学知識が正しいかどうかと、相手がキスをしたくないという意思は別問題だということだ。
理由が間違っていても「嫌」は尊重する
仮に相手が、
「HIVが怖いからキスしたくない」
と言ったとする。
医学的な部分について、
「通常のキスでHIVが感染するわけではないよ」
と説明することはできる。
しかし、
「だからキスしてもいいでしょ」
とはならない。
ここはかなり重要だと思う。
キスをするかどうかは医学知識だけで決まるものではない。
相手が嫌ならしない。
不安ならしない。
まだ早いと思うならしない。
理由を論破してキスに持っていくのは違う。
出会い系サイトで知り合った相手なら、なおさら最初は距離感が分からない。
相手が一歩引いたなら、その距離を尊重する。
それだけでいい。
出会い系では健康の話が突然出ることもある
ハッピーメールのようなサービスを使っていると、普段の生活ではあまり話さないことまで話題になることがある。
恋愛。
結婚。
過去の交際。
身体の関係。
性感染症。
避妊。
相手との距離が急速に近づけば、こうした話が出てくること自体は不思議ではない。
問題は、そのときに出てきた情報を全部事実だと思ってしまうことだ。
相手も医療の専門家とは限らない。
もちろん自分も専門家ではない。
だから健康に関係する重要な話が出たら、厚生労働省などの公的機関や医療機関の情報を確認する。
これが一番確実だ。
「エイズ」と「HIV」も分けて考えたい
今回の言葉を振り返ると、もう一つ気になるところがある。
「エイズになる」という表現だ。
HIVとエイズは同じ言葉ではない。
HIVはウイルスの名称で、HIV感染後、治療を受けずに免疫機能が低下し、定められた疾患を発症した段階でエイズ(AIDS)と診断される。現在は治療によってHIVの増殖を抑えることが可能になっている。
だから感染経路を話すなら、
「エイズがキスでうつる」
というより、
「HIVはキスで感染するのか」
と考えたほうが正確だ。
言葉を整理するだけでも、必要以上の恐怖はかなり減る。
相手の一言から調べるきっかけになった
今回の女性の発言は、医学的にはそのまま信じるべき内容ではなかった。
それでも、私にとって無意味な会話だったとは思わない。
なぜなら、
「本当なのか?」
と調べるきっかけになったからだ。
ネットの出会いでは、いろいろな価値観を持つ人と会う。
恋愛観も違う。
身体的な距離感も違う。
性感染症について持っている知識も違う。
だから相手が言ったことを笑ったり否定したりするだけではなく、
「これは事実なのだろうか」
と一度調べる。
その習慣は持っていたほうがいいと思う。
ハッピーメール記録帖として残しておきたいこと
今回、一番印象に残ったのは女性の言葉そのものだった。
「キスこそエイズにもっともなるかもしれません」
かなり強い言い方だったので記憶に残った。
しかし調べてみると、通常のキスについてHIVを恐れる必要は基本的にない。唾液だけでHIVが感染するわけでもない。
一方で、だからといって相手にキスを求めていいわけではない。
感染症の知識と同じくらい大切なのが、相手の意思を尊重することだ。
出会い系で知り合ったからといって、キスをすることが決まっているわけではない。
会ったからといって、その先へ進むことが決まっているわけでもない。
相手が嫌ならそこで止まる。
自分が不安なら自分も止まる。
そして健康について分からないことがあれば、公的な情報を確認する。
今回のやり取りから私が残しておきたいのは、その三つだ。
相手の言葉を尊重すること。
医学的な話は事実確認すること。
出会いの場でも、自分と相手の安全を優先すること。
ハッピーメールで交わした何気ない一言だったが、改めて調べてみると、意外と大事なことを考えるきっかけになった。


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